透明境界線

生きていく。詩を書く。

2017-10-01から1ヶ月間の記事一覧

かなしい

好きなものを値段を気にせず買える生活がほしかった。 ひとり焼き肉やひとり居酒屋、バーへ通ったりそんな年齢相応な経験をしてみたかった。持病をしっかり治療したかった。本名のような生き方をしたかった。わたしにとっての『普通』を追い求めていたけれど…

某人物の遺書から一部抜粋

朽ち果てたエケベリアのすがた(灰色に縮こまっていた)一部が折れたセダムのすがた(可哀想に背だけが伸びていた)安物の黒いスウェットは裏起毛がなく(暖かな長袖を肌着の上に仕込み)街へ出かける日は腐った面持ちで行けず笑顔で(それは強制である) ・向かいの…

2017/05/23

澄み渡る よぞら に 絵の具をのせて かんせい した 水彩画 青の密度の濃度 やさしいきみは わたしを つつんで のがさない

2017/04/08

明け前の湿る雨が屋根を濡らす君の部屋の冷蔵庫が音を鳴らす音楽だと思った一週間分の晩御飯の献立を考えて紙に書こうそう君は言っていたけれど明日の昼にはすっかり忘れてしまうだろう耳の記憶眠りの中で消去される些細な苦悩 水が歩けば 今日が始まる

2016/10/23

オリオン座が見えたから、明日も笑っていたいと思った。東京の夜空が時々澄むのは希望。深い夜中の12℃。眠気まなこで分厚い掛け布団をかける生まれてきてから何度も経験する秋と冬の狭間に対して一昨年は睨んで昨年は泣いて今年のわたしはどうなるの悩むくら…

無題

休眠を終えて煙草着火点灯ひねくれカーテンから食み出る白昨夜垂直に出産した記憶はすっかり忘れたというのにたった数時間で蘇った色を共わない煙嫌な臭い壁目を瞑り時計の秒針に耳をすませば眠りに落ちると信じていたのに わたしもあなたも愚直だ

ただいまわたし

泣いて乱れて叫んで諦めてこの家へ帰ってきた痛めた腰を右手で支えながら庭先に出ると夏に枯れたペンタスが 大きく華やかに咲き誇っていた 秋の虫が鳴いている夜半透明の音たちここは静かな場所私の居場所 呪縛の夏から解放され私はここへ帰ってきた

疼く傘

目の霞と宇宙と浮力で叶う眩暈 気象病にたいする にくしみ しんしんとした曇り雨のなか 私も君も 立っている

2017/04/08

涙する夜は街道を走る車の音がやけに騒がしく耳をつねる毛布ひとつで足りる夜にはあの人と手を繋いで眠りたい腹式呼吸と心拍数と虫の音は連動眠りに落ちる瞬間小さな死と優しさに包まれる

2016/10/23

オリオン座が見えたから、明日も笑っていたいと思った。東京の夜空が時々澄むのは希望。深い夜中の12℃。眠気まなこで分厚い掛け布団をかける生まれてきてから何度も経験する秋と冬の狭間に対して一昨年は睨んで昨年は泣いて今年のわたしはどうなるの悩むくら…

私の命を拾ってください

湯気の出たアワビが嫌いです眠り込んで魂が抜けて浄化命を拾ってください私の発熱した37.6℃の体温に触れて一度だけ怒ってください 私の命を拾ってください明日の朝には帰りますから

生きづらさも死にたみも受け入れられずに

今までどれ程に自分を痛め、責めてきただろうか。苦しい時に苦しいと、もう限界だという日に助けてと、あの頃言えていただろうか。 ここのところずっと続く雨がもたらす抑うつと頭痛神経痛で、睡眠時間は長くなった。外にいる時間も短くなり、家事は以前より…