詩
雨が降ると眠くなる雨が降ると切なくなる雨の日は動きたくないとからだが殻にこもりたくなるそれと矛盾するきみへの会いたさ募る 雨粒の音は 世界の正常と異常を知りたくなる音雨のせいで悩みが増す、頭痛の予兆がするそれでも雨は、『しずかにやさしいおん…
涙が出そうでこの瞼ゴクリトツバノミコンデつむって両胸のざわつきを慰めて/月日経てどもわたしは女。女おんなオンナ女の子おんなのこおんなの子,○○○。. イイカゲンナ命などないいい加減な気持ちではいない人と人とがかんぜんに分かり合えるなんてほぼ皆…
風邪をひいた夕べにキッチンから聞こえてくる何かを擦る音倦怠の体を座椅子にゆだね、目を伏せる母が無言で机上に置いてきた林檎わたしは何も言わずに齧り付く時間をかけてつよい酸味と水分がじんわり体に浸透する(沈黙)なにも言葉を発しない母橙色の木漏…
灰色の空はめらんこりーな僕に歩け歩けとうるさく話しかける。むごんほど怖いものなどないむひょうじょうは不穏にさせる雨が落ち、晴れてまた落ちて みがってなものにはスルーすればいいのよ。そうきみはいつだか言ったよな 記憶の窓辺でうたう灰両脚はうま…
希死念慮がベッドに漂う夜にぬいぐるみ抱きしめてゆっくり ふかく 覚悟も決心も一切せず、こきゅうをしている 余っていた鎮静剤は昔橙色のカンカンに大事に保管をしていた さけぶことのできないまよなかしずまりかえるいえのなかわたしの分身が頭を抱えて…
ねむりにおちる直前まで/頭のなかに言葉の数々がめいっぱい巡りまわるそれはうれしくもたのしくもなく、ただ、淡々と淡く濃く甘くにがくおおきな泡。/蒸気のない闇なかで私の体は おだやかに
ことばにならないげきじょう。見えない/雲に隠れたオリオン座のあのなかの一部として/埋まっている/からそれでいい。それいじょうもとめない/形も色ももとめない、高ぶらない/私のもがくさまを貴女は見ないで、居てくれる
いつかまた丸い鳥の囀り聴こえてきたら延々と続くあぶない妄想右の方へ消えゆくかしらいつかまた家の電話が鳴ったなら藍の斜光を取り外せるかしら
寂しがりのふたりが互いの皮膚を擦り合わせて影に潜んでいる眠たがり重ねてミルフィーユ黒に新しい柄がひっつく チュル ざあざあ BGMに身を委ね寄り添うここは一切のしがらみのない秘密を守れる場所 寂しがりの片方が遠くの匂いにつ…
母を亡くしてからひとりきりでいるのが居た堪れなくなった母を亡くしてから過去を思い悩むようになった過干渉と無関心にされたことはとっくのとうに許したただ わたしのなかにできたぽっかり大きな空洞は誰にも埋められない自分で埋めることすら 求めていた…
かなしいと感じるのはかなしいからだむなしいと感じるのはむなしいからだいま空気中に大勢の人々の吸うたばこの煙が篭っている窓の方へ視線を移すと灰色のビルの群れが無言でただ建っているだけ 誰かへの愛情の膜が薄れてゆき違う誰かさんからの愛を求めても…
朽ち果てたエケベリアのすがた(灰色に縮こまっていた)一部が折れたセダムのすがた(可哀想に背だけが伸びていた)安物の黒いスウェットは裏起毛がなく(暖かな長袖を肌着の上に仕込み)街へ出かける日は腐った面持ちで行けず笑顔で(それは強制である) ・向かいの…